2026/05/14
予約という約束を、これからもっと大切にしていきたい
吉田歯科クリニック 院長吉田です。
2026年6月1日より、厚生労働省の通知により、予約に基づく診療の患者さん都合による直前キャンセルについては、事前説明と同意を前提に、キャンセル料の徴収が認められることが明確に示されました。
吉田歯科クリニックでも、この流れを重く受け止めています。
ただし、当院では2026年6月1日から、すぐにキャンセル料を徴収することはいたしません。
なぜなら、ルールは作ることより、きちんと説明し、納得いただき、公平に運用することの方がはるかに大切だからです。
新しく来院される患者さんにはご説明しやすくても、長く通ってくださっている既存の患者さん全員に、同じ質で、同じ基準で、丁寧にご説明し、同意をいただき、署名をお願いするには、今の当院の体制ではまだ準備が十分ではありません。
中途半端な状態で始めることは、かえって不信感を生みます。
それは、私たちが目指す姿ではありません。
ですから当院では、2027年を目標に、キャンセル料の導入を見据えながら準備を進めていきます。
金額については、社会全体の流れや一般的な予約制サービスの相場も踏まえ、3,000円〜5,000円程度を目安に現在検討しています。
ただ、私はこの問題を、単なる「お金の話」だとは考えていません。
本質はそこではありません。
今回の制度改正によって私たちが問われているのは、予約という約束をどこまで大切にできるのか、その一点だと思っています。
歯科医院の予約は、席だけ押さえているわけではありません。
その時間に合わせてスタッフを配置し、器材を準備し、診療内容を組み立て、他の患者さんの予約とのバランスも考えながら、一つひとつの診療枠を守っています。
つまり予約とは、「空いている時間に入れるもの」ではなく、医院全体が責任を持って確保している大切な時間です。
だからこそ、直前のキャンセルが続けば、医院の都合だけでなく、他の患者さんの診療機会にも影響します。
その時間に診てもらいたかった患者さんがいたかもしれない。
準備を整えて待っていたスタッフの動きも止まる。
それが積み重なれば、診療の質にも影響してきます。
ここを曖昧にしたままでは、真面目に通ってくださる患者さんを守れないと私は考えています。
一方で、医療は予約産業でありながら、単純なサービス業とも違います。
時間通りに終える努力は当然です。
待ち時間を減らす努力も、医院として当然です。
ですが、現実の医療現場では、予定通りにいかないことがあります。
治療中に外傷が起こることもあります。
急に顔が腫れてしまった、痛みが強くてどうにもならない、そんな患者さんを緊急で対応しなければならないこともあります。
そのとき、どうしても後ろの時間が押してしまうことがあります。
「キャンセル料を考えるなら、待たせるな」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
その感覚は理解できます。
しかし逆に言えば、もしそれがご自身やご家族に起きたとき、どこかの医療機関で、誰かの予定を少し調整してでも助けてもらうことになるかもしれません。
医療とは、そうした緊急性や助け合いを含んだ世界です。
だから私は、時間厳守だけでも、情だけでもなく、ルールと信頼の両方が必要だと考えています。
吉田歯科クリニックは、信頼関係を大切にしてきた医院です。
だからこそ、これからは「信頼しているから曖昧でいい」ではなく、信頼関係があるからこそ、ルールも明確にするという方向へ進みたいと思っています。
それは厳しくなるためではありません。
診療の質を守るためです。
真面目に通ってくださる患者さんを守るためです。
そして、現場で一生懸命に準備し、対応し、医院を支えてくれているスタッフを守るためでもあります。
今後、当院の考え方に合わないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その場合には、無理に当院に合わせていただくのではなく、必要に応じて近隣の歯科医院へのご紹介も行ってまいります。
すべての人に合わせることはできません。
しかし、当院の考え方を明確にし、それに共感してくださる方と、きちんとした信頼関係を築いていくことはできます。
2027年に向けて、当院は準備を進めます。
予約という約束を、これまで以上に大切にする医院へ。
そして、患者さんにも医院にも、より誠実な関係性を築ける歯科医院へ。
吉田歯科クリニックは、そのための一歩を進めていきます。
