2026/08/21
2026年の保険改定で、部分入れ歯に起きている変化=ほんと困った!
横浜市、港南区港南台にあります吉田歯科クリニック 吉田です。義歯の治療に本当に困ってます!
2026年6月の歯科保険改定により、部分入れ歯のクラスプ(残っている歯にかける金具)に使用する材料の取り扱いが変わりました。
クラスプは、単に入れ歯が外れないようにする金具ではありません。入れ歯の沈み込みを防ぐ「支持」、横揺れを抑える「把持」、外れにくくする「維持」という重要な役割を担っています。この3つが適切に働いてこそ、噛んだときに入れ歯が安定し、残っている歯や歯ぐきへの負担を分散できます。
今回の改定では、保険診療で鋳造クラスプを製作する場合、コバルトクロム合金の使用が基本となりました。しかし、この合金は融点が高く非常に硬いため、鋳造・研磨・適合調整に専用設備と高度な技術が必要です。対応できる歯科技工所は限られ、現実には設備の整った大規模な技工所が中心となっています。
その結果、保険診療ではワイヤーを曲げて作る線鉤を選択せざるを得ないケースが増えました。線鉤にも適応はありますが、症例によってはレストや把持を十分に設計しにくく、使用しているうちに金具が開く、入れ歯が浮く・沈む・横に動くなど、基本となる安定性を確保しにくいことがあります。
一方、自費の部分入れ歯では、症例に合わせて金属フレーム、鋳造クラスプ、レスト、大連結子などを一体的に設計できます。強固な金属フレームによって入れ歯全体のたわみや変形を抑えられるため、薄く作っても十分な強度を確保しやすく、噛んだ力を複数の歯と粘膜へバランスよく分散できます。
つまり、自費義歯のメリットは、単に見た目がよい、薄くて快適ということだけではありません。入れ歯が動きにくく、しっかり噛みやすいこと、そして残っている歯を守るための設計ができることが、本質的な違いです。
当院では、保険の入れ歯でも可能な限り丁寧に設計・調整します。しかし、現在の制度では材料と構造に明確な限界があります。保険と自費で何が違うのかをきちんと説明し、ご自身が何を優先するのかを考えたうえで、納得できる治療方法を選んでいただきたいと考えています。
